ネガティブなイメージから見る要因
人手不足の原因
介護労働安定センターによって行われた介護労働実態調査のデータ(2015年度)から介護業界の実情をみていきます。こちらの調査で対象となる経営主体や従業員規模別の比率は毎年若干異なるので、年度ごとの単純比較をするのは難しい部分もありますが、厚生労働省の審議会でも用いられるデータなので信用性は高いと言えます。そしてこの調査で、介護業界が人手不足となっている大きな原因のひとつとして挙げられているのが「賃金の低さ」です。賃金の低さについては、前年度と比べると4ポイントほど低くなっているものの、人手不足の原因として依然トップの数字です。処遇改善加算の引き上げなどにより徐々に環境は変わってきていますが、まだままだ深刻な問題です。
そしてもうひとつ注目したいのが、人手不足の原因として3年連続で数字を伸ばしている「社会的評価の低さ」です。以前までの日本は、要介護状態となった高齢者がいた場合、その高齢者の子ども(主に長男)の嫁が行うのが一般的でした。しかし、核家族化や平均寿命が伸びたことによる介護期間の長期化によって、身内だけで高齢者の介護をするのは大きな負担となりました。そこで、社会全体で高齢者の介護を行う介護保険制度が誕生しました。しかし、今でもなお介護職には「家族の代理」という印象が強く、「介護を専門に扱うプロフェッショナル」という評価を世間から得られていないという実情があります。「介護は誰でもできる」というイメージを払拭しなければ、社会的評価の向上は難しいと言えます。
「3K」ならぬ「4K」
昔から労働環境の悪い職場を揶揄する言葉として「3K」というものがあります。これは、「キツイ・キタナイ・キケン」の頭文字をとって3Kとしていますが、介護職はこれに「給料が低い」が加わり、「4K」と揶揄されることが少なくありません。介護職における4Kをそれぞれみていくと、まず「キツイ」は夜勤の存在による不規則な勤務形態、そして残業の多さによる長時間労働、人間関係の悪さが挙げられます。「キタナイ」は、高齢者の排せつ介助やおむつ交換、汚れた衣類の洗濯などの業務が挙げられます。「キケン」は排泄物や嘔吐物からの感染リスク、介助業務による身体への負担、精神面のつらさ、認知症高齢者からの暴力などが挙げられます。そして「給料が低い」は、基本給の低さだけではなくサービス残業の多さやボーナス、手当、昇給の少なさなどが挙げられます。
多くの事業所は介護報酬を主な収入源としているため、収益には事実上の上限があります。そのような状態で環境を改善するためには。業務プロセスを大幅に改善する必要があります。まだまだその部分が上手くいっていない事業所が多いのも確かであり、これがイメージの低下につながっています。
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志を持ち、成し遂げられる職場を選ぼう
介護職として転職を成功させるために持っておくべき志について紹介していきます。また、この志を成し遂げられる職場を効果的に探すためには、転職エージェントの利用がカギになります。ここでは、おすすめの転職エージェントも紹介しています。
「介護の専門家」としてのプライド
介護職は誰でもできる仕事と思われている部分がありますが、まったくそんなことはありません。介護の専門家として、様々な介護サービスを利用者に提供していきます。人間にしかできないクリエイティブな面を持っている仕事です。