介護の専門性を「見える化」できるか?
介護の専門性をより明確にする制度
介護職員がどの程度の能力を有しており、介護現場においてどのような働きができるのかを「見える化」することで客観的な職業能力の評価を可能とし、社会的評価の向上や処遇改善を図る制度として「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」があります。この制度では7段階で介護職員のレベル認定を行い、レベル4以上になると「プロレベル」として認められます。このレベル4にはリーダーシップや部下への指示、指導能力が求められます。キャリア段位を認定する際は、事業所内部に在籍するアセッサーが評価を行い、キャリア段位を取得する職員が基準を満たしていると判断された場合に、一般社団法人シルバーサービス振興会にキャリア段位の認定を申請するという流れです。
アセッサーとは日本語で言うと「評価者」のことで、介護職員のキャリアアップを推進する役割を担います。このアセッサーもキャリア段位制度においてレベル4以上の認定を受けている必要があります。それに加えてアセッサー講習を修了していなければなりません。アセッサー講習は介護福祉士として実務経験3年以上で介護福祉士実習指導者講習会を修了している者が受けられます。
懸念点もある
介護プロフェッショナルキャリア段位制度は2015年1月からスタートしました。まだまだ全体に浸透しているとは言い難く、この制度が今後さらに一般化して業界標準になるかどうかがポイントとなってくるでしょう。この制度での実施において注意したいのが、施設や事業所内部の評価が適切に行われるかどうかという点です。アセッサーとレベル認定を受ける人が同じ現場で働くため、適切な評価ができないのではないかという懸念があります。評価のばらつきが発生しないように外部評価機関が設定されていますが、その数はまだ限られているため、レベル認定希望者が一気に増えた場合に対応しきれないという不安があります。
そしてもっとも重要なのが、この制度が本当に処遇改善につながるのかという点です。この疑問に対して公益財団法人シルバーサービス振興会は「例として、介護福祉士の資格を持っていなくても勤務経験が長くスキルのある人からすれば、そのスキルが評価されて処遇改善につながるのではないか」と回答しています。つまりは、事業者次第の部分が大きいのは否めないというところでしょうか。また、有効期間が設定されていないのも問題として挙げられています。介護技術は日々進化していきますので、再認定の仕組みがあってもいいのではないかという意見もあります。
とはいえ、この制度がプラスに働けば介護の専門性を広い領域に伝えることができ、社会的評価の向上につなげることができるため、これからの動きに注目したいところです。
以下に、参考までに介護プロフェッショナルキャリア段位制度の公式サイトを紹介します。
こちらで、介護プロフェッショナルキャリア段位制度の詳細確認や、各種資料のダウンロードなどができます。
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